チベットの仏画タンカを描くスペイン在住の日本人


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尊格の輝きを飾る”パタ”

タンカに描かれる尊格や覚者はその身体の周りに丸い円形、または楕円形の光背を描き身体から発せられる輝きを表現します。

円形に平坦に塗った色の上に暈しを加え、そこに身体から発せられる光線のように純金泥の極細い線を描き込むシンプルなものから、光背の外側部分に渦巻き状の模様やそこに宝珠を加えたもので更に美しく飾ることがあります。

金色の”パタ”で飾られた光背を描いた仏陀釈迦牟尼のタンカ。

 

その渦巻き状の模様は”パタ”と呼ばれ、形状が似ていることから”海獣マカラの尾の模様”と呼ばれることもあり、通常は同じようなパターンで描かれたパタをいくつか並べて尊格の光背を飾ります。

尾に金色の”パタ”を持つ海獣マカラ
(image from Himalayan Art Resourses)

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タンカ ”ユム・チェンモ” 〜Part 2〜

前回の投稿【タンカ ”ユム・チェンモ” 〜Part 1〜】の続きです。

今回は同じような二枚のタンカを、通常の彩色方法とツァクリのような小ぶりなタンカに用いられる薄塗り彩色方法の二種類で制作しました。

 

まずは通常のタンカの彩色同様に、各部分に暈しを施す下地になる色を平塗りしたもの。

画像では、平塗りのあとで線を描き起こした状態です。暈しは、供物の宝珠の炎と光背の薄い水色への外側からの白い暈しのみが施されています。

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タンカ ”ユム・チェンモ” 〜Part 1〜

この夏は仕事場に蟻がかなり侵入してきて困っています。

食べ物なんかをつい放置しておいたらすぐに大量発生。

まぁ、その辺を這っているだけならいいのですが、体にも這い上がって来るわ噛みつくわでなかなか困ったものです。もちろん制作真っただ中でも遠慮なしです。

集中して細い線をスーーーっと引いていると、脚がモゾモゾと。くすぐったいと言うか痒いというか。でも引いている最中の線からは手も目も離せないので我慢して作業に集中。むやみに触れると殺してしまうので、線を一旦引き終えてから息を吹きかけて退散してもらい作業再開。

暫くすると、同じ蟻だか別のだかはわからないけれどもまたモゾモゾとやってくる。我慢して線を引き、その後退散してもらう、、、を繰り返すんだけれども、たちの悪い奴だとやたらと噛みついてくる。

制作していると足のあたりがモゾモゾするので「あ、また来たな、、」と思いながらも制作続行。そうしていると、そのうちにチクーーっと噛みついてくる。しかも一度噛んだらなかなか離さない。線引きの最中だと「痛っ!!」っとか反応もできず、その痛みに耐えながら心を無に、、、はできないまでも集中力を保ってスーーっと線を引き終える。見てみると普通よりも小さい蟻が力いっぱい噛みついてほぼ逆立ち状態。息を吹きかけた程度では離れてくれないので、筆の先でちょこっと触れて退散してもらいます。

今回の投稿は、毎日暑い中こんな感じで集中力と忍耐を試されながら制作したタンカの紹介。

 

2作ありますが、どちらもユム・チェンモを主尊にギャジンとツァンパの立像。日本語だと般若仏母に帝釈天(インドラ)と梵天(ブラフマー)、、、かな。で、どちらもほとんど同じ構図。違うのは彩色方法。

1枚は通常のタンカと同じように彩色し、もう1枚はもっと薄塗りで彩色します。ツァクリと呼ばれる儀礼用の絵札をはじめ、小さなサイズのものを彩色する時によく使われる彩色方法です。もちろん使用する絵の具はどちらも天然の岩絵の具がメインです。

まずは下描き。

 

一面四臂の女尊です。

向かって左に梵天。手には法輪。

右側には帝釈天。手には法螺貝。

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Atelier NISHI オンラインショップ 新商品追加

Atelier NISHI オンラインショップに新しい商品が追加されました。

複製画の元となるタンカのサイズが小さい等の理由で今まで複製画の販売をしていなかったタンカを含めた全20作品を、A4用紙に納まるサイズの小型の”S-size 複製画”としてお手頃な価格で販売開始いたしました。

 



"デワチェン" 複製画

去年描き上げた”デワチェン”の複製画を制作しました。

地元マラガには高性能なスキャナを持っているところがないようなので、今回もスキャニングは遥々バルセロナで。


卓球台みたいな超巨大スキャナです。

以前依頼した超拡大版のヴァジュラ・ヨギニの複製画(色校正途中のもの)が印刷見本として今も使われていました。

ヴァジュラ・ヨギニのスキャニングの投稿はこちら

今回のデワチェンの複製画は、いつも通りの原画と同じものに加えて更に二種類作ってみました。

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あと一週間。

救度仏母多羅二十一尊の図像冊子”の割引期間終了まで残り1週間となりました。

お買い求めはAtelier NISHI オンラインショップまたは東京曙橋のチベットレストラン&カフェ・タシデレでお願いします。



インスタグラム

インスタグラムで最近の仕事に加えて昔の仕事の画像も公開しています。

以前に公開済みのものと重なるものもありますが、徐々に増やしていくのでよろしくお願いします。

 

https://www.instagram.com/yoji.nishi/

 



”デワ・チェン”完成

ハイシーズンとはうって変わって、人気も少なくしみじみと美しい夕暮れの南スペイン・マラガより久々の更新です。

 

Facebookの方でも書いたのですが、いつも作品撮影に使っているカメラ(古いけど作品撮影にしか使わないから実際にはほとんど使っていないのに)が急に故障してしまったり、年内に完成させるために制作に少しでも時間をまわしたかったりということで制作の途中報告ができないまま”蓮池”を描いた作品が完成してしまいました。

イメージは阿弥陀仏の浄土、チベット語だとウパメ・キ・シンカム、もしくは極楽浄土デワ・チェンです。

広大な仏国土の蓮池には赤、白、青、黄色、紅と色鮮やかで大きな蓮の花が沢山咲き、その葉も活き活きと生命力に溢れ、虫食いだとかしおれたものは一つもありません。

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2005年制作のタンカ、阿弥陀仏

今から12年前。当時はベルギーに住んでタンカの制作をしていました。

ある日、オーガニックショップ"La Tsampa"に飾ってもらっていたグル・パドマサンバヴァのタンカを見てとても気に入ったというベルギー人のBさんがタンカの注文をお願いしたい、と訪ねてきました。

グル・パドマサンバヴァ

 

Bさん、小さな紙にプリントアウトした画像を差し出しながら

「注文したいタンカは少し特別なものです。こういう感じのものを描いてもらいたのですができますか?」

差し出された画像を見ると僧形の尊格が玉座に座っている絵がプリントされていて、両手で定印を結んでいることと玉座に孔雀が描かれていたことから阿弥陀如来と判断してBさんに質問。

西洋児「この見本の画像通りに描くのですか?」

Bさん 「いえ、これを参考によりよくして描いてください。」

西 「色は、、」

Bさん「色もこのプリントに近い感じでお願いします。」

西「チベットでは阿弥陀如来の体は赤い色ですが、赤くしても良いですか?」

Bさん 「それは困ります。体の色は肌色でお願いします。」

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蓮池 4

 

阿弥陀仏の極楽浄土にある池を満たす水は八つの功徳、つまり八つの優れた特性を持つとされています。

  1. 清らかで穢れがない
  2. 冷たく心地よい
  3. 甘みがあり旨い
  4. 軽い
  5. 軟らかい
  6. 良い芳香を放つ
  7. 喉を傷めない
  8. 腹などを壊すことがない

他にも渇きをいやす、感覚を豊かにする、腹を満たす、、とかいろいろと異なる説があるみたいですね。

そんなこと考えて制作してたら池の水の青が結構派手目に。

これでもかなり彩度の低い群青と藍で塗ったんだけど、蓮の葉には本当に彩度の低い色を使ってるから。

ま、色の明度(明るさ)とか鮮やかさ(彩度)は他の部分との比較でいくらでも変わるし、この先使う色が彩度の高いものになるから最終的には水面だけ浮いて見えることはない、、、と期待してます。