チベットの仏画タンカを描くスペイン在住の日本人


<< March 2024 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
 
→ English version
蓮池 4

 

阿弥陀仏の極楽浄土にある池を満たす水は八つの功徳、つまり八つの優れた特性を持つとされています。

  1. 清らかで穢れがない
  2. 冷たく心地よい
  3. 甘みがあり旨い
  4. 軽い
  5. 軟らかい
  6. 良い芳香を放つ
  7. 喉を傷めない
  8. 腹などを壊すことがない

他にも渇きをいやす、感覚を豊かにする、腹を満たす、、とかいろいろと異なる説があるみたいですね。

そんなこと考えて制作してたら池の水の青が結構派手目に。

これでもかなり彩度の低い群青と藍で塗ったんだけど、蓮の葉には本当に彩度の低い色を使ってるから。

ま、色の明度(明るさ)とか鮮やかさ(彩度)は他の部分との比較でいくらでも変わるし、この先使う色が彩度の高いものになるから最終的には水面だけ浮いて見えることはない、、、と期待してます。

 



蓮池 3

グラナダに行ってきました。

今住んでいるところから車で2時間くらい。

街の建物の間からは、スペインの国立公園にも指定されているシエラネバダ山脈が見えてネパールを思い出させます。

綺麗な街並とおいしい料理で久々の休暇を満喫した後は、しばらくぶりに制作を再開。

前に混色した絵の具を溶きなおすことから始めます。

蓮の葉の彩色用に少しずつ異なる色合いの緑を数種類作ったのが、乾燥してしまってどれがどの色かわからない。

乾燥すると染料と顔料が分離してどの緑も同じに見えてしまう。

七種類もあるのに全部ほとんど同じ、、、インド人の表現を借りれば"Same same, but different"

 

仕方がないので全部溶きなおして色を確認することにします。

前回作業終了後に膠抜きをせずに置いておいたのでカチカチに固まっています。土系顔料と染料を混ぜて作った色なので、膠抜きしたら土系の顔料はともかく染料は流れてしまので仕方がないです。

溶きあがった器の置き場所は窓際にあるヒーターの上。

冬場の作業で絵の具が冷えると膠分が固まって塗りにくくなるので、それを避けるのにヒーターの上が丁度いい。

調理用のヒーターだと熱すぎてすぐに水分が蒸発してしまうし、器も熱々になってしまう。

チベットではヤギの糞を火にくべたものを利用するらしいけど、今は電気かなぁ。

葉の裏側用にもう一色作らないと。



蓮池 2 

なんだかんだと落ち着いて絵を描けない日が多いこの頃ですが、なんとか蓮池の方も葉の彩色が大体終わりました。

キャンバスがいつもより黄色味が強く濃いめの色だからか、最初思ったような色が全然作れずに随分時間を無駄にしてしまいました。

この葉の部分、元々は水彩画のような感じであっさりと薄塗りで済ませようと思って藍と藤黄だけで彩色したけども、どうも弱すぎて結局染料系のみでのあっさり彩色は中止。

ただ彩度を抑え気味にしたいので、岩絵の具はここでは使わずに土系の顔料中心。

黄土各種、緑土と藍、藤黄。

線描きが終わったときはこんな感じでした。

read more...


蓮池

何もしていないのに回復したインターネットへの接続は何もしていないのにまた途切れてしまいました。

仕方なくスマホ回線でブログ更新。

なんとかFacebookページは、ネットに繋がっていた間に公開することができたのでFacebook上での投稿はプライベートと仕事分けるようにしたいと思っています。

Facebookページの方ではこのブログに書くこと以外にも、主にタンカやチベット関係の投稿をできればと思っています。一度覗いてみてください→https://www.facebook.com/TibetanThangka.KarmaGardri/

 

さて制作の方ですが、今回は蓮池が大部分を占める構図なので蓮を沢山描いています。

タンカでも背景や供物、衣の文様などに蓮はよく描きますが、タンカに描かれるものは多くの場合あまり写実的ではなくデザイン的です。

read more...


日本語は難しい
ブログテーマの前ふりをしておきながらブログの更新が滞ってました。

今住んでいるところは住宅地から山の手に少し入ったところで、うちより先には家は一軒のみ。あとはヤギ小屋とか、野ざらしの養蜂所があるくらい。インターネット接続の末端といったところです。

なのでもともとインターネットは遅かったのだけれど、最近それに輪をかけて遅くなり、ここ数日は接続すらできなくなっていました。

接続がなくなって数日しても回復する兆しがないので、プロバイダーに電話。スペインでは珍しくすぐに来てくれるとのこと。

色々と調べてもらった結果、うちの門の前まではちゃんとネットにつながっていて結構な速度もある、と。問題は門から家の中にきているケーブル、それを交換するようにと親切に新しいケーブルを何メートルもくれる。

でもその交換すべきケーブルは地面に埋もれていて、そのケーブルが通るパイプもどこか中の方で詰まっているらしく、ケーブルを引っ張ってもビクともしないので、せっかく来てくれた業者さんも俺にはお手上げ!という感じで新しいケーブルを置いて帰っていってしまいました。

一応ネットには繋がるようにしてくれたものの、、、遅い。

昔のネパールのインターネットカフェみたい。
ワンクリックごとに持参の本を読んで表示待ち。またクリックして読書、、、というような。

ま、そういう訳でブログの更新ができなかったという訳です。


さて今回は、前回”前ふり”までしたにも関わらず別件。
以前からお伝えしている21尊ターラの図像付経本についてです。

日本語、英語、フランス語で制作予定のこの冊子、なかなか先に進まないのでまずは日本語版の制作に集中することにしました。

何か新しいことをやろうとした時に障害が起きる場合は”もう一度よく考えた方がいいよ”という兆し、ということを聞きます。
が、それとは逆に今からやろうとしていることが素晴らしいことであるが故に何らかの障害が起きる、、とも言うので、今回の冊子制作は後者であると信じて前進。

それでなくとも慣れない作業や知らないことが多い本の制作。日本語版となると身近にアドバイスをもらえる人もいない中奮闘しています。

文章も少なく、ページ数も大したことない小冊子をつくるのでさえこんなに大変なのか!と実感。
特に日本語版は一番大変なのではないかと思います。
read more...


再稼動
21尊ターラーの冊子とか、新しい複製画の制作他の仕事があったのでしばらくの間落ち着いて描く時間が取れなかった。

パソコンに向かっての作業とか打ち合わせとかやりつつ、「そろそろ筆持たなあかんよー」、「絵師なんやし、絵描かな」なんていう言葉を自分の中で聞きながらもなかなか区切りがつかずにズルズルと、、、

ブログの更新もズルズルと先送り。

冊子の方も慣れないこと、知らないことばかりでまだやることはいっぱいあるけど、どうもこのままでは駄目なのでもう無理にでも時間を作って筆を持つことに。

まずは長々と掃除も出来ずに散らかり放題の仕事場の掃除。

スペインに来る前に住んでいたベルギーでは、建物が乱立するブリュッセルの街のど真ん中で、更に曇りがちな天気のせいで仕事場も薄暗いことが多かったが、今使わせてもらっている部屋はスペイン、コスタ・デル・ソル(太陽の海岸)の陽が差し込み窓からは地中海を臨む素晴らしい部屋で、タンカのような細かい描写をするには最高の仕事場。街から少し離れた山手にあって近くには人も車もあまり通らない。窓はあるものの大きく開けることはほとんどないのに、埃はどこからともなくやってきて溜まってしまう。

絵を描き始めて、絵の具の器が並びだすと掃除するのが難しくなるので、できるときに気合を入れて隅々まで念入りに。汚れた仕事場では良いタンカは描けない、、、と教わったし、確かにそう感じるので手抜きなし。年末の大掃除くらい頑張って掃除。

いろんなものを動かして、溜まった資料も片づけて。そして部屋が綺麗になったところで最後にお気に入りの御香を焚いて完了。

次の作品を描く場所は整いました。
 

 


ターラー礼賛経
一月に日本からスペインに戻ってからずっと忙しい日々が続いてます。
ブログの更新も随分久しぶり。日本での複製制作のこととか書きたいことや伝えたいことはいっぱいあるんですが、なかなか時間が取れずに更新が遅れてしまいます。先日2月9日にはチベット歴の新年も迎えましたが、みなさんお元気でしょうか。
 
スペインに戻って最近やっているのはこれ。
 

仏教を修行をしている知人に、各ターラーのイメージを見ながらターラー礼賛経を読みたい、と頼まれて21尊ターラーのイメージ付の経本を制作。
 
こんな感じでいたってシンプル。それでも色にはやっぱり気を使いました。実際にタンカを描くときに凄く色に気を使ったから、その印刷物もできるだけ近い色にしたい。 

チベット仏教の中で”色”はとても重要なものなのです。

read more...


”21尊ターラー” 〜その5 空〜



 
JUGEMテーマ:絵画