去年描き上げた”デワチェン”の複製画を制作しました。
地元マラガには高性能なスキャナを持っているところがないようなので、今回もスキャニングは遥々バルセロナで。
卓球台みたいな超巨大スキャナです。
以前依頼した超拡大版のヴァジュラ・ヨギニの複製画(色校正途中のもの)が印刷見本として今も使われていました。
今回のデワチェンの複製画は、いつも通りの原画と同じものに加えて更に二種類作ってみました。
チベットの仏画タンカを描くスペイン在住の日本人
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去年描き上げた”デワチェン”の複製画を制作しました。
地元マラガには高性能なスキャナを持っているところがないようなので、今回もスキャニングは遥々バルセロナで。
卓球台みたいな超巨大スキャナです。
以前依頼した超拡大版のヴァジュラ・ヨギニの複製画(色校正途中のもの)が印刷見本として今も使われていました。
今回のデワチェンの複製画は、いつも通りの原画と同じものに加えて更に二種類作ってみました。
ジクレープリントによる複製画を新たに二作制作。
ヴァジュラ・ヨギニ、ヴァジュラ・キラヤ、そしてグル・ドルジェ・ドルに続いて、グル・リンポチェとアミタユの複製画をジクレー技法で制作。
金泥を磨いた部分の輝きは表現できないまでも、それを除けば非常に満足のいくものができている。
以下は以前作成したヴァジュラ・キラヤのジクレープリントを撮影したもの。
近づくとキャンバスの布目まで確認できる。
タンカには極々細い線や細かい描写が多くあるので、それらを表現できるだけの超高水準の画像が必要とされる。
そして原画にできるだけ近い色を実現するために今回も多くのテストプリントを繰り返し、その都度原画と色を見比べて補正。もちろん色を補正する際には画像の劣化を最小限にするように注意を払う。
人間の目による色の認識はとてもあやふやなもので、同じ画面にある他の色の影響を強く受ける。つまり他色との対照によって眼(または脳)による色の認識は大きく変わってしまう。
さらに、色の認識を変化させるのが確認する場所の違い。
室内ならば照明の種類、色や明るさ、屋外でも日向か日陰、朝か昼、夕方などといった条件で驚くほど色は変わる。
また、原画に使っている画材とプリントに使われている顔料の光の反射の違いなのかどうかわからないが、屋内で確認すると原画のほうがプリントされたものに比べて明るい色に見えていたのに屋外では逆になったりもする。
そういったことを理解したうえで制作作業を進めていき、ようやく満足のいく複製画が出来上がった。
今回複製画を制作した二作で、特にグル・リンポチェのタンカは今までに多くの人との良い繋がりやうれしいニュースをもたらしてくれた思い入れのある作品で、これが今回複製画という形でより多くの方の手に渡ることができるようになってとても嬉しい。