チベットの仏画タンカを描くスペイン在住の日本人


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アジャ・リンポチェ in タシデレ

少し寒いけど快晴の今日は、朝から用事があってミハスへ。

山の中腹にある白い村ミハスは、小さいながらも美しいところで観光地としても結構有名。日本からは遠いけど、日本人も結構見かけます。

画像はミハスにある役場。結構洒落た建物で、空の青さと建物の白さが良い感じです。

この辺をウロウロしているときに日本からメッセージ。

東京のチベットレストラン・タシデレからでした。

今日23日はタシデレは貸切りで、アジャ・リンポチェをお迎えしてのお食事会だということです。

アジャ・リンポチェはモンゴル人で、チベット仏教ゲルク派の創始者ジェ・ツォンカパ大師の父アジャ・リンポチェ(Arjia Rinpoche)8世の転生活仏。現在はアメリカ在住ですが、亡命前はクンブム寺の僧院長。

前回紹介した「救度仏母ターラ二十一尊の図像」冊子をご覧いただきお褒めの言葉も頂いた、ということでタシデレの奈津子さんが写真を送ってくださいました。

タシデレの店長ロサンさんも一緒。

 

最近日本でチベット関係、盛り上がってますよね。そろそろ一時帰国したいところです。今年、、、はもう少ししかないから、来年こそは必ず日本に行きたいと思っています。

そういえば明日はクリスマス・イブ。しかも土曜日。

皆さん、楽しい週末をお過ごしください!!



救度仏母多羅二十一尊の図像冊子

以前よりお伝えしていた冊子がやっと出来上がり、完成品が数冊スペインにも届きました。

まず表紙。

主尊が緑色なので表紙も緑で、、、という考えもあったのですが、最終的に選んだのは赤。

 

ベタ塗りの赤ではなく、タイトル部分の箔の金色が映える深い赤でとても気に入っています。

 

タンカと同じように金色が綺麗に輝いています。

さてページの内容ですが、救度仏母多羅二十一尊礼賛経はチベット仏教において宗派を超えて広く親しまれている経典で、多羅仏母の21体の変化身をそれぞれ礼賛する二十一首の詩で成り立っています。

今回の冊子では、各ページに一尊の多羅仏母のカラーイメージとチベット名、その多羅尊を礼賛する四偈のチベット語の詩、その読み方のカタカナ表記、そして日本語訳を併せて掲載し、お経を読む際にページを開いたままの状態で置くことができるようにリング製本としました。

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”21尊ターラー” 〜 その39 〜
主尊のグリーン・ターラーの金泥を磨く。
足の部分の金泥は単に全体を磨くのではなく模様を描いてみました。
 

角度によって磨いた部分が輝くとこんな感じ。
 

金泥を磨くことで、輝いている部分の金属感とマットな岩絵の具とのコントラストが引き立ちます。
 
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”21尊ターラー” 〜その38 金泥の研磨 2〜
金泥を磨く作業も残りわずか。
 
これは宝傘、金魚、宝瓶、蓮、法螺貝、吉祥紐、勝幢、法輪という一つ一つ独立したものからなる八吉祥文様を一纏めにし供物としたもの。

〜”八吉祥” 2013年1月17日〜

金泥は強く磨けばより強く輝き、軽くなでるように磨けばうっすらと艶が出る程度に輝く。

画像では今一つわかりにくいけれども、全体を金泥で塗っているこの八吉祥文様はその効果を利用して陰影をつけるように磨いている。

こういった磨き方はより時間がかかるし、自分のタンカの伝統にはあまり見かけられないのもあって、当初は単に全体を均一に磨くつもりだったのが手をつけたらこうなってしまった。

長い間制作してきたこのタンカの完成を避けて、無意識のうちにより手間暇のかかる方法で作業してしまっているような気がします。

いずれにせよ、残すはメインのグリーン・ターラーの金泥のみ。


”21尊ターラー” 〜その38 金泥の研磨〜
金泥を塗った部分を研磨して輝きをだしていきます。


 
磨く部分は主に装身具や供物の一部で、絵師によっては岩に描いた金泥の線描きや光背内の波線も磨いて光沢を与える人もいます。


磨く前はこういうのが、、、



こうやって丁寧に磨いていくことで、、、
 
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”21尊ターラー” 〜その37 金泥 7 光背〜
衣の文様描きに続いて、光背にゆるい曲線を描く。
実線と波線を交互に描いて、尊格から放たれる光を表現する。




 
まず均等な幅で、光背の内側になるにつれ幅が少しずつ狭くなるように緩やかな曲線を実線で描きます。








 
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”21尊ターラー” 〜その36 金泥 6〜
金泥文様も大詰め。
メインのグリーンターラーの衣への文様描き。





プロポーションや持物等々決まり事の多いタンカ制作の中で、尊格の衣等に描く文様は、絵師が工夫してかなり自由に描くことのできる部分の一つ。

単純な文様を、間隔を大きくとってササッと描き上げてしまえばかなり制作時間の短縮になる部分ではあるけれど、よほど制作に時間がかけられないという場合でもない限り、やはり時間をかけて細やかで綺麗な文様を描いた方が出来上がりのタンカの荘厳さは引き立つ。

描き上げることが目的で描くのではなく、充実した制作時間の果てにタンカの完成があるようにしたい。

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”21尊ターラー” 〜その35 金泥 5〜
小さいターラーの衣への金泥描写、後半。






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”21尊ターラー” 〜その34 金泥 4〜
小さいターラーの衣への金泥紋様描き進行中。

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ニベの膠 〜追記〜
前回書いたニベの膠の追記。

溶けきらない白い浮遊物は溶解温度を上げれば溶けるけれども、膠溶液自体の接着力が落ちる可能性があるので濾すのがいい、、、 と藤岡先生よりメッセージを頂きました。


このメッセージを待たずに、溶液を濾すこともなく作業をしていたのが失敗。


いつものように金泥に膠溶液を少しずつ入れているときに、何かゼリー状の透明の塊がズルッと入った!

小さい粒々の不純物も結構一緒に器に入ってしまったようで、金泥はベットリしかも粒々入りに、、

器の中で金泥にしっかり絡み付いてしまったので、このまま取り除くと結構な量の金泥も捨てることになってしまう。 


これを金泥から取り除くためには、お湯を注いだ後に金泥が沈殿するのを待って湯を捨てる、そして再度いつもより念入りに練って、湯を捨てる、、といった作業を何回か繰り返さないと、、、


横着すると後々時間も画材も無駄になってしまう、ということで、次回からはしっかり濾すことにします。

制作は別の容器で新しく用意した金泥を使って進行中。




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