チベットの仏画タンカを描くスペイン在住の日本人


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蓮池

何もしていないのに回復したインターネットへの接続は何もしていないのにまた途切れてしまいました。

仕方なくスマホ回線でブログ更新。

なんとかFacebookページは、ネットに繋がっていた間に公開することができたのでFacebook上での投稿はプライベートと仕事分けるようにしたいと思っています。

Facebookページの方ではこのブログに書くこと以外にも、主にタンカやチベット関係の投稿をできればと思っています。一度覗いてみてください→https://www.facebook.com/TibetanThangka.KarmaGardri/

 

さて制作の方ですが、今回は蓮池が大部分を占める構図なので蓮を沢山描いています。

タンカでも背景や供物、衣の文様などに蓮はよく描きますが、タンカに描かれるものは多くの場合あまり写実的ではなくデザイン的です。

これも、、、

これも。

崩れがなく左右対称。

もちろん、これはこれでいいんです。仏の世界ではすべてが完璧で。

個人的な意見ですが、蓮に限らず、タンカにあまりにリアルな描写をしてしまうととても違和感があります。そこに絵師の好みや趣向が入りすぎて。実際にタンカを使って観想する修行者の想像の幅を狭めるようにも思います。

尊格の御顔なんかは、時代による感覚の違いにも左右されてしまうので特にそういうことが言えるかもしれません。

もの凄く古いタンカでも良く描けているものは、現代人の僕達が見ても綺麗で神々しい表情をしています。目標は、そういう時代を超えて受け入れられる”美しさ”ですね。

もちろん、あまりにもリアルさに欠けてしまっては塗り絵のようになってしまうので、そのさじ加減が難しいところです。

ここまでは普段タンカを描くときの話です。

でも今回のタンカは”チベット伝統”ではないので、画面のほとんどを占めることになる蓮も”タンカに描く蓮”よりは少しリアルに描きたいと思っています。

沢山蓮を描くのに全部が全部左右対称で均整が取れてると堅苦しくなりそうなので。

写実的な絵なんてろくに描いたことないから、まずはいくつか蓮を試し描き。

結果、、、やっぱり左右対称。

これじゃ全然写実的に見えない。どう見ても”タンカの蓮”。

頑張って、わざとずらして描いてみるけど左右が対照でない部分はどうも隙間が空いているような、バランスが悪いような。

何か描き忘れてしまったような気がしてついちょこっと描き足してしまう。だいぶ重症、、、

タンカの蓮が身についていること喜ぶべきか、描きたいことを表現できないことを悲しむべきか。

タンカ絵師としては前者。絵描きとしては後者かな。

そういえば、三人目の先生が、”タンカ絵師はタンカ以外の絵を描かない方が良い。描いてしまうと、タンカの腕を無くしてしまう”と言ってたなぁ。

でも、今回は少しでもいいから写実的な蓮が描きたいのです。

誰かに教わりたいくらいですが、そうもいかないのでネットで蓮の画像を検索。

タイミングよく日本では蓮の花が開く季節。Faceboo 等でも”うちの蓮を手本にするんだ!”と言わんばかりに多くの方が蓮の画像を投稿してくれていてすごく助かります。

それを見ながら、紙切れに片っ端から描いてみる。 細かい部分は気にしない。

変な形になっても気にしない。描きなおしたりもしない。

次から次へと数をこなしていると、そのうちそれなりにいい感じの蓮が描けるようになってくる。

こうやってどんどん自分の中に取り込んでいく。

ある程度描いたら次に取り込んだものを吐き出す。つまり、今度は画像を手本にせずに自分の思うように蓮をどんどん描いていく。

A4用紙何枚かをいろんな蓮で埋めて、左右対称の呪縛からも少しは解放されたように感じることができたので、前に制作しておいたキャンバスに下絵を描くことに。

木炭で適当に(本当に適当)描いてから、鉛筆で形を整える。

木炭は筆なんかでさっと払えばすぐに消すことができて凄く便利。

ボールペンの芯や先部分を取り除いた筒部分に固定して使用。ネパールで壁画制作の時は木炭も手作りだったのを思い出します。

写実とは言っても、しおれた花びらとか枯れた葉を描くほどにはしません。さじ加減、さじ加減。

 

〜続く〜



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