チベットの仏画タンカを描くスペイン在住の日本人


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尊格の輝きを飾る”パタ”

タンカに描かれる尊格や覚者はその身体の周りに丸い円形、または楕円形の光背を描き身体から発せられる輝きを表現します。

円形に平坦に塗った色の上に暈しを加え、そこに身体から発せられる光線のように純金泥の極細い線を描き込むシンプルなものから、光背の外側部分に渦巻き状の模様やそこに宝珠を加えたもので更に美しく飾ることがあります。

金色の”パタ”で飾られた光背を描いた仏陀釈迦牟尼のタンカ。

 

その渦巻き状の模様は”パタ”と呼ばれ、形状が似ていることから”海獣マカラの尾の模様”と呼ばれることもあり、通常は同じようなパターンで描かれたパタをいくつか並べて尊格の光背を飾ります。

尾に金色の”パタ”を持つ海獣マカラ
(image from Himalayan Art Resourses)

タンカの制作の様々な場面で使用され特別な視覚効果をもたらす純金泥ですが、このパタの描画においても非常に効果的に使用されています。

今回は”仏の荘厳な輝き”を表現するこの純金泥を効果的に使ったパタの一部分を作品として制作してみました。

 

背景には金泥の効果を際立たせ、”魔除け・厄除けの色”ともいわれる朱を塗りました。

緑・オレンジ・青の宝珠を巻き込むような形状のパタには金泥を塗り、瑪瑙等の堅いもので磨くことで輝きを出しています。

小さいタンカや制作にそれほど時間をかけられないタンカの場合には金泥部分をすべて磨くことがあります。

全体的に磨かれた金泥は金属的な輝きを放ちタンカを荘厳に飾りますが、暈しを施し陰影をつけ立体的に表現された他の彩色部分に比べて平坦な印象を与えてしまいます。

そこでタンカでは同じ金泥で塗った部分にも変化を与えるために、磨いて輝きを出した部分と磨かずにマットなままの部分とを使い分けます。

更に今回制作したパタは”光”を表すものなので、パタの渦巻き状の流れに沿って細い線を描くように磨いています。こうすることでマット部分も輝きを放ち、且つ全体的に磨いた部分とはことなった質感を持たすことができます。

 

この異なる磨き方、特に線状に磨かれた部分などはよくよく観察しないと気づかないような部分ですが、そういった部分にも尊格の神々しさをより良く表現するためにこのような非常に時間のかかる技法がタンカの制作には用いられています。



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