チベットの仏画タンカを描くスペイン在住の日本人


<< December 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
 
→ English version
蓮池 3

グラナダに行ってきました。

今住んでいるところから車で2時間くらい。

街の建物の間からは、スペインの国立公園にも指定されているシエラネバダ山脈が見えてネパールを思い出させます。

綺麗な街並とおいしい料理で久々の休暇を満喫した後は、しばらくぶりに制作を再開。

前に混色した絵の具を溶きなおすことから始めます。

蓮の葉の彩色用に少しずつ異なる色合いの緑を数種類作ったのが、乾燥してしまってどれがどの色かわからない。

乾燥すると染料と顔料が分離してどの緑も同じに見えてしまう。

七種類もあるのに全部ほとんど同じ、、、インド人の表現を借りれば"Same same, but different"

 

仕方がないので全部溶きなおして色を確認することにします。

前回作業終了後に膠抜きをせずに置いておいたのでカチカチに固まっています。土系顔料と染料を混ぜて作った色なので、膠抜きしたら土系の顔料はともかく染料は流れてしまので仕方がないです。

溶きあがった器の置き場所は窓際にあるヒーターの上。

冬場の作業で絵の具が冷えると膠分が固まって塗りにくくなるので、それを避けるのにヒーターの上が丁度いい。

調理用のヒーターだと熱すぎてすぐに水分が蒸発してしまうし、器も熱々になってしまう。

チベットではヤギの糞を火にくべたものを利用するらしいけど、今は電気かなぁ。

葉の裏側用にもう一色作らないと。



アジャ・リンポチェ in タシデレ

少し寒いけど快晴の今日は、朝から用事があってミハスへ。

山の中腹にある白い村ミハスは、小さいながらも美しいところで観光地としても結構有名。日本からは遠いけど、日本人も結構見かけます。

画像はミハスにある役場。結構洒落た建物で、空の青さと建物の白さが良い感じです。

この辺をウロウロしているときに日本からメッセージ。

東京のチベットレストラン・タシデレからでした。

今日23日はタシデレは貸切りで、アジャ・リンポチェをお迎えしてのお食事会だということです。

アジャ・リンポチェはモンゴル人で、チベット仏教ゲルク派の創始者ジェ・ツォンカパ大師の父アジャ・リンポチェ(Arjia Rinpoche)8世の転生活仏。現在はアメリカ在住ですが、亡命前はクンブム寺の僧院長。

前回紹介した「救度仏母ターラ二十一尊の図像」冊子をご覧いただきお褒めの言葉も頂いた、ということでタシデレの奈津子さんが写真を送ってくださいました。

タシデレの店長ロサンさんも一緒。

 

最近日本でチベット関係、盛り上がってますよね。そろそろ一時帰国したいところです。今年、、、はもう少ししかないから、来年こそは必ず日本に行きたいと思っています。

そういえば明日はクリスマス・イブ。しかも土曜日。

皆さん、楽しい週末をお過ごしください!!



救度仏母多羅二十一尊の図像冊子

以前よりお伝えしていた冊子がやっと出来上がり、完成品が数冊スペインにも届きました。

まず表紙。

主尊が緑色なので表紙も緑で、、、という考えもあったのですが、最終的に選んだのは赤。

 

ベタ塗りの赤ではなく、タイトル部分の箔の金色が映える深い赤でとても気に入っています。

 

タンカと同じように金色が綺麗に輝いています。

さてページの内容ですが、救度仏母多羅二十一尊礼賛経はチベット仏教において宗派を超えて広く親しまれている経典で、多羅仏母の21体の変化身をそれぞれ礼賛する二十一首の詩で成り立っています。

今回の冊子では、各ページに一尊の多羅仏母のカラーイメージとチベット名、その多羅尊を礼賛する四偈のチベット語の詩、その読み方のカタカナ表記、そして日本語訳を併せて掲載し、お経を読む際にページを開いたままの状態で置くことができるようにリング製本としました。

read more...


サイトリニューアル

実際に原画を見てもらう機会があった方から、
「実際の原画とサイトで見るのとでは全然違うねー。」
とか
「凄い!細かいなー!! サイトでは全然わからんな!」
と言われることが以前から度々あったのでサイト、新しくしました!

以前のサイトよりは、タンカの細かい描写も見てもらえるような画像も増えてます。 今のところパソコン用の構成になっていて、スマホ対応はまだ先になりますが宜しくお願いします。

不具合あれば連絡いただけると助かります。

以下の画像クリックでどうぞ。

〜タンカ絵師 西 洋児〜



蓮池 2 

なんだかんだと落ち着いて絵を描けない日が多いこの頃ですが、なんとか蓮池の方も葉の彩色が大体終わりました。

キャンバスがいつもより黄色味が強く濃いめの色だからか、最初思ったような色が全然作れずに随分時間を無駄にしてしまいました。

この葉の部分、元々は水彩画のような感じであっさりと薄塗りで済ませようと思って藍と藤黄だけで彩色したけども、どうも弱すぎて結局染料系のみでのあっさり彩色は中止。

ただ彩度を抑え気味にしたいので、岩絵の具はここでは使わずに土系の顔料中心。

黄土各種、緑土と藍、藤黄。

線描きが終わったときはこんな感じでした。

read more...


21尊ターラ礼賛経冊子〜Adobeとチベット語〜 

久しぶりの21尊ターラの冊子の制作報告です。

更新が遅れてしまったので少し前の話になりますが、冊子に使っている文字の”アウトライン化”というのでつまづいていました。

この”アウトライン化”というのは、例えば上の一枚目の画像のような文字を、二枚目の画像のように縁取りしたデータにすることで、AdobeのIllustratorというソフトを使えば簡単にできる、、、はずの作業だったのに、そう簡単にはいかずに苦労しました。

自分の経験不足もあるけれども、今回の一番の原因は

❛❜Adobeのソフトではチベット文字が正しく表示されない!❛❜

ということにありました。

read more...


タンカ教本

僕が通っていたネパールのツェリン・アートスクールでは、タンカを描く技術だけでなく、タンカ絵師として知っておくべき仏教の基本的な教えや歴史、タンカの歴史、チベット語やレンツァ文字、そして曼荼羅の制作までも学ぶことができる。

<shechen.org>

タンカはネパールのお土産屋でツーリスト相手に人気の商品の一つで、カトマンズのツーリストエリアのそこかしこにタンカの工房や教室が並ぶ。しかしそういった場所のほとんどでは本当にしっかりとした技術を身に着けることはできない。そして例え運よく良いところが見つかっても”描く技術”しか学ぶことはできないし、もともとそれが最終目的になっている。

どの工房も教室も、うちは本物とか伝統的という宣伝をしているのだけれども、実際に本物を描いているところはごく少数に思われる。そして例えどんなに綺麗なタンカを制作していたとしても技術のみではタンカの大事な部分が欠けていると言わざるを得ない。酷いところになると、どう見ても俗人の剃髪もしていないネパール人絵師にチベット仏教の僧衣を着せた画像をホームページに掲載して、自分たちの描くタンカの正統さを売り込んでいるところまである。

read more...


タンカのぼかしに使われる色材

タンカの特徴の一つとして、美しいグラデーションで陰影を施す”ダン”とよばれる技法があります。

他の主な色が鉱物を砕いた顔料で彩色されるのに対し、この”ダン”に使うのは染料。

”ダン”にはいくつか異なる技法がありますが、今回紹介する染料を使う場合は主に二種類。

無数の”線”で描くか、同じく無数の”点”で施すやりかたです。

僕の場合は、1人目のカルマ先生には点でのダンを習いました。その後、シェチェン寺のクンチョク先生から線でのダンを学び、その際にクンチョク先生から”うちの伝統では点でのダンはやらない”と言われて、それからは”線”だけでやっています。

濃淡をコントロールしながら、細かく短かい線を無数に描き込んでグラデーションを作ります。

タンカに使うキャンバスは特殊で、絹や紙とはまた違った水の吸収の仕方をするので、日本画や水彩画のように湿らせておいた画面に色を滲ませてぼかすといった技法は使われません。

来る日も来る日もチクチク、チクチクと細かい線を描き込むことで、少しずつ作業を進めていきます。

慣れればそれほど気を使う作業ではないので工房等では弟子の仕事の一つなのですが、空のような大きな部分だと作業の進展があまり感じられず、淡い部分に濃い線や点を入れてしまうとそれまでの苦労が水の泡。その修正が大変なので初心者の方はここで挫折する人が結構います。

忍耐が必要とされる作業ですが、この辺りもタンカの制作が仏教修行なんかと結び付けられる理由の一つかもしれません。

ダンを施す部分の大きさにもよりますが、最初にうちは空だけで数日から一週間、と考えて作業にあたったほうが気持ちにゆとりを持って制作できるので良いと思います。

 

1.インディゴ

色としては、まず一番よく使われるのがインディゴ、日本でも良く知られている藍です。 チベット語では”ラム”といいます。


二枚目の画像はネパールで広く使われているインディゴ。

read more...


蓮池

何もしていないのに回復したインターネットへの接続は何もしていないのにまた途切れてしまいました。

仕方なくスマホ回線でブログ更新。

なんとかFacebookページは、ネットに繋がっていた間に公開することができたのでFacebook上での投稿はプライベートと仕事分けるようにしたいと思っています。

Facebookページの方ではこのブログに書くこと以外にも、主にタンカやチベット関係の投稿をできればと思っています。一度覗いてみてください→https://www.facebook.com/TibetanThangka.KarmaGardri/

 

さて制作の方ですが、今回は蓮池が大部分を占める構図なので蓮を沢山描いています。

タンカでも背景や供物、衣の文様などに蓮はよく描きますが、タンカに描かれるものは多くの場合あまり写実的ではなくデザイン的です。

read more...


タンカ絵師と健康 1

先週から崩していた体調もようやく良くなってきました。お見舞いのメールやメッセージをいただいた方々、本当にありがとうございました。

、、、という始まりでブログの更新をするはずが、インターネットの接続不良で早くも三週間近く。ネットの接続はいまだに回復していないけれども、スマホの方はつながるのでそれを使って更新。
 

今日も良い天気の中、仏教センターの買い出しでオーガニック市場に来ています。(これももう二週間ほど前の話ですが)

この市場は毎週末に場所を変えて開かれる市場で、野菜、果物、パン、蜂蜜、オリーブオイル、チーズなどのお店が出ていて朝からいつも賑わっています。
 


今回はこういう傘みたいな大きな木のある広場で。

 

僕らがいつも一番多く買うのがリンゴ。 いつも50個くらいは買います。


今回風邪を引いたときも、リンゴのすりおろしたのが本当においしかったです。オーガニックなので皮ごと。世界中どこで食べても同じ味のものは海外で体調を崩した時に本当に助かります。


以前(ものすごい前の話ですが)なら風邪をひいても何か精のつくものを食べて、ビールをギューッと飲んだ後で、服、帽子、靴下等々をいっぱい着込んで、その格好で重ねた布団の中で頭まですっぽり入って一寝入り。大汗をかいて目が覚めたら体を拭いて、楽なものに着替えて一晩寝る、、というやりかたで治していたけど、もうそういう無茶も出来ない年齢です。お医者さんもそういう無茶はやめましょうと言っていました(笑)

 

力仕事もなく、暑さ寒さの中を歩き回ることもなく、部屋で座ってするタンカ絵師の仕事は少しぐらい体調が悪くてもできます。

座り続けて腰が痛い、、、とか、目が疲れた、、ということ以外は肉体的には楽な仕事です。

が、風邪をひいてしまうとやはり仕事に差し支えます。

read more...